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CHN40を使ったトランスミッションライン エンクロージャーの製作


MarkAudioから新しく発売となった6cmユニットCHN40を使ったTLS(トランスミッションライン)エンクロージャーを設計・製作しました。



まずエンクロージャーの設計ですが、もともとAlpair5用のTLSエンクロージャーがありました。それは幅の内寸が90mmです。今回は幅の内寸70mmで作ってみようと思います。すると70/90=0.778倍となります。エンクロージャーの全部の寸法をこの比率をかけてみました。ただし板厚は12mm・バッフル開口径は65mmです。こうして作ったのが1番目の画像です。

 

それを基に板取図を描きます。私はそれを行うC#プログラムを作りましたのでそれを使いました。板厚12mmのシナ合板910mmx910mmで余ります。それが2番目の画像です。

 

ユニットなどの部品とカット板材とを注文してどちらも揃ったので組み立てをします。ユニットのアップ写真は3番目の画像です。

 

ユニットなどはコイズミ無線で注文しました。

 

カット板材は株式会社アサヒさんに頼みました。

この板材屋さんでは高級なオーディオ用材(シナアピトン材・バーチ材)は扱っていませんがMDF・ラワン合板・シナ合板は扱っています。

直線カットの値段は安くて良心的な価格です。丸穴開けもしてもらいました。

板一枚単位(3x6尺又は4x8尺)での購入になりますので出来るだけ余りの無いように板取を考えます。

今回は8cm TangBand W3-2141 用TLS と MarkAudio CHN40 用TLSを合わせて注文しました。(参考資料1・2)

 

板材の片ch分の内容は4番目の画像です。ターミナルや配線ケーブルも必要になります。

 

あっという間に完成した写真が5番目の画像です。仕上げはオイルフィニッシュとしました。

リアビューは6番目の画像です。

 

組み立て時の注意事項は、箱に作ってしまうとバッフル開口部から手が入らないので吸音材の増減が出来ないという事です。私はバッフルだけ両面テープで仮止めして音楽を聴いてみて吸音材の量を確認してからバッフルを接着しました。私の聴いた感じでは吸音材は設計図通りでOKでした。

 

では試聴しましょう(7番目の画像)。AmazonMusicでJoyceCoolingのアルバムを聴いてみました。まず出力音圧レベルが思った以上に高いです。高音域は十分に伸びています。中低域は少し盛り上がっている感じでメリハリがあります。低音域も思った以上に出ています。50Hzで-10dB以内だと思います。これならメインスピーカとしても良いくらいです。

 

設計時点ではあまり気にしていませんでしたが、このユニットの sd:23cm^2 から考えるとユニット口径は6cmというよりも7cmだろうという事です。8cmユニットの有効振動版半径は31.9mmくらいです。このユニットのそれは27.1mmです。すると27.1/31.9=0.85倍となります。この比率で再計算したエンクロージャーの図面と板取図の例も参考までに載せておきます。

チャレンジしてみたい方はこちらの図面を使ってみてはいかがでしょうか。

 


>>>>> 追記 2023.03.12 <<<<<

しばらく聴きこんでみたのですが、低域のレベルがちょっと低いので開口部のスリットを広げることにしました。

ルーターに治具を付けて幅約15mmになるように広げました。

塗装もしました。ジェルカラーニスのライトオーク色を塗ってみました。

塗装が乾いたらもう一度試聴です。

前回と同じJoiceCooling のアルバムを聴いてみました。50~70Hz辺りのレベルが上がって前より音のバランスが良くなりました。これなら音楽に聴き浸れそうです。

これから作ってみたい方は最初からスリット幅15mmとして作ったほうが良いと思います。